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  • 市川里美

小さい頃にかけられた呪文

 少し前にS N S上でみたのですが、ゴールデンレトリバーのわんちゃんが、大きくなった今でも、小さいころに飛び越えないようにしつけられた低い柵を越えようともせずにその前でおすわりをしている、という画像です。

 

 小さい頃にしつけられたことが大きくなってもそのままに、いまは優に越えられるであろう柵の前で立ち止まる。自分でも気づかずにそうしてしまう。刷り込まれたもので、無意識にそうしてしまうのです。無意識ですから自分ではそれが当たり前のことであり、疑うこともない。「刷り込まれたもの」ということさえも気づかないでしょう。小さい頃からこのように植えつけられているものを自分では気づくことが難しく、外すことがなかなかできないのです。変化させることが難しい。これは犬だけでなく人間も同じです。自分のことなのだから自分で気づかないはずがないと思ってしまいますが、そうではないのです。


 実は優にできるのに、自分で勝手に「苦手」「不得意」「無理」と思い込んでいないか。「わたしにはできない」と自分に制限をかけていないか。そんなふうに、自分の持っている能力が何か、それをちゃんと発揮できているかはしっかりと検証してもいいのではないかと思うのです。小さい頃の自分と今の自分は違う自分ですから。


 小さい頃に近しい人から言われた言葉がそのままあなたの中に生き続けて、本来の力を出すことを阻んでいるかもしれません。小さい子だったら当然できないことなのに「ほら、あなたにはできないから」と言われたことで、あるいは「あの子にはできるけれど、あなたはできないのね」と言われたことで、大きくなった今でも「わたしはできない子」という呪文が解かれないままでいることもあるのです。


 自分一人ではなかなかその呪文に気づきにくいかもしれません。他者の目には自分がどう映っているのか「わたしってどんな人?」と聞いてみるのもよいと思うのです。

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