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  • 市川里美

学校に行かない、行けない、行きたくない

 新年度の始まり。子どもたちは、新しい学校、新しい学年、教室、友だちと出会います。どの子どもも、期待や希望よりも、緊張と不安が大きかったかもしれません。焦らずに、ゆっくりと少しずつ慣れていけたらと思います。またこの時期、これまで学校から、教室から遠ざかっていた子どもも「よし、がんばってみよう」と、一歩を踏み出そうとしていたかもしれません。親も、先生も期待している。実際に一歩を踏み出して登校できるようになった子どももいるでしょう。一方で、なかなか足が出ず校門まで来たのに引き返してしまう、朝起きて朝食を食べて着替えても家から出られず、「だめだ」とがっかりして自分の部屋に戻る、という子どももいるでしょう。もしかしたら「そんなしおらしい様子はない。あっけらかんとして、昼頃に起きてゲームばかりしている」という子どももいるかもしれません。その姿に「そんなに元気ならば、学校に行けるんじゃないの?」と思う。ですが、学校には行けない、行かない。

 

 しかしどのように過ごしていても、「このままでは、どうなってしまうんだろう」という大きな不安が子どもにはあるように思います。ただ、その気持ちをどうしていいかわからない、向き合うのが怖い。なので、ゲームをしてごまかしたり、その気持ちがないかのように振る舞ったりすることもある。元気そうに見えても、心のエネルギーは不安に奪われて、身動きができなくなっている。一見すると不安を抱えているようには見えなくても、その気持ちがあることを理解したいと思います。


 親もとても不安です。「学校に行かなくて、この先どうするの?」「転校する?」「何かやりたいことはないの?」と聞きたくなる。早くこの状態から抜け出させてあげたいと。けれども子どもは答えられない。黙ってしまう。かえって、子どもを追い詰めることにもなってしまいます。

 

 子どもの心に十分なエネルギーが溜まってくるのを待つ。そういう時間を過ごしている、大事なことをしている時間です。そのことをわかってくれる人がいるということだけでも、子どもは安心し、それも心のエネルギーになります。待つことはとても難しいことだと思いますが、なるようになる なるようにしかならない。できることは、寄り添うことのみだと言えそうです。ただ服薬などの手立てが必要(有効)な時もあります。医師やスクールカウンセラーなどの専門家にはぜひ一度ご相談ください。

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