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  • 市川里美

夢と綱渡りと甘え

 小さい頃からから私たちは「夢を持つこと」「目標を持つこと」を良いことと教えられてきているように思います。学校では「今学期の目標」「夏休みの目標」を書いたり、中学になれば「将来の夢」、高校になれば希望する進路に向かって計画的に取り組むことを奨められます。

 意思を持って、意欲的に取り組むためには「夢をもつこと」が大切と言われます。しかし、それのことが選択を狭め、綱渡りのような毎日を過ごすことになってしまうこともあるのです。「自分の夢を叶えるためにはこうでなければならない」「夢のためには毎日これをしなければならない」と。そして、それをできない自分を責めるようになる。「なんでできないんだ」「自分で決めたことなのに」と。「夢を持つ」「目標に向かって歩む」という良いことをしているのだから、それができない自分は「弱い」という解釈になっていく。「怠けている」「甘えている」「意志薄弱」など自分を責めることばばかりが浮かぶようになる。


 学校のカウンセリングでは、出された課題を終えられずに自責的になる生徒の相談も多いです。計画を立てても達成できず、そんな自分にイライラしたり、友達にあたってしまう。


 自分を責めて、落ち込んでいく。夢や目標を叶えるために自分の心と身体が犠牲になっていく。課題を終えられない生徒は睡眠時間を削ってまでもこなそうとし、体調を崩す。それでも自分を責める。悪循環です。

 この悪循環に気づき、一刻も早く抜け出さなければならない。逃げていいのです。真面目な人ほどうつになりやすい。「他の方法はないか」「今のやり方は果たして自分にあっているのか」「効果がない方法にこだわり続けていないか」と客観的にみてみます。これを「自分に甘い」と捉えてしまわないように、今の自分をちゃんと見る。


 「眠ろう」「休もう」「食べよう」「リラックスしよう」と。自分の健康を保つために大切なことです。

 

 綱渡りをしていないでしょうか。つらい時、視野を広げてみましょう。それは甘えではありません。


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