「話すことで自分の考えがまとまるということはよくあることです」菅波光太郎
NHKの朝ドラ「おかえりモネ」のなかでのセリフです。
本当にその通りだと思います。自分の頭の中だけで考えているよりも、人に話すことで考えがまとまる。「人に」話すということがポイントです。話す相手がいるほうがよいようです。人は言語化し考えますが、頭の中でことばにしていてもなかなかまとまらない。鏡に映った自分に口に出して話してもなかなかまとまらないのです。人に、相手に、わかるように伝えるということが重要なのです。人に、相手に、わかるようにことばにして伝えることで、自分自身が考えを客観的に見ることとなり、考えをまとめることができるようになるのです。
そして、人に「話す」ことは一時的でもそのことを自分から「離す」ことになります。この「離す」ことができると、それだけで心が楽になったと感じられます。解決方法はみつからなくても、楽になったと感じられる。ですので、「話したところで解決はしないだろう」「誰にも解決できない問題」と思われるようなことでも、「話し」て「離す」ことで気持ちを落ち着かせることができるのです。もちろんストレスも低減します。
相談すること、カウンセリングをすることの目的の一つに「どうすればいいのかわからないので教えてほしい」ということがあると思います。しかし、心理カウンセラーは答えを持っていないのです。多少のアドバイスをすることもありますし、情報提供もすることもありますが、「こうしなさい」「これが答えです」「あなたの気持ちはこうです」という形でお伝えすることは滅多にありません。カウンセラーとの対話の中で相談される方自身が「話し」て「離す」ことで自分の気持ちに気づき、自分の中にある答えに到達する。これがカウンセリングのプロセスになります。
この世の中、はっきりとした答えのないことばかりです。なにが正しいのかもよくわかりません。時代が変わると価値も移り変わります。この流れる川のような世の中で、最後は自分で決めたことが答えになり、正解なのでしょう。自分の心の中にあるものをまとめ、決断する。
「話す」ことで「離す」、そして自分で自分の考えを見つめていく。それがカウンセリングのプロセスなのです。カウンセラーとの対話は実は自分自身との対話なのです。
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