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「不安」はどこからくるのか?(5)栄養との関連について

  • 市川里美
  • 7 日前
  • 読了時間: 3分

 今回は「不安」と栄養との関連についてです。栄養に目を向けることで不安が低減、解消することも起こるのです。これまで述べた、学習、記憶、ホルモン分泌、遺伝子とさまざまな側面が複雑に絡み合ってはいるので、「栄養を摂れば、不安が解消する!」と言い切ることはできませんが、適切な栄養摂取が起点となり、感情の生起システム、不安を起こしやすくしている体内システム、神経伝達に変化をもたらし、不安を生じにくくすることが可能であると言えます。


 近年日本人の栄養摂取量不足の問題が明らかになりました。食料が豊富なこの時代に栄養不良になるはずがない、と思いがちです。しかし、栄養を摂取しているつもりでも、また体重の変化はなくとも、いつのまにか栄養不足状態に陥ってしまっている。その結果、不安が生じやすくなったり、うつ病と似た症状(気力が出ない、興味関心がなくなる、イライラする、焦燥感など)が出ることがあります。また、現代人は、常に過剰なストレス下にあると言われますが、ストレスを受けたときに多量に消費される栄養素としては、カルシウムやミネラル、ビタミンB群があげられます。これらを意識して摂取することは、ストレスケアの一つとなりますし、精神疾患の予防ともなりうるのです。疲れやストレスを感じたとき、肌が荒れたり、口内炎ができたりということを経験された方は多いと思いますが、このことの要因の一つとして、ストレスによる栄養素の大量消費が考えられるのです。


 不安についても同様に、カルシウムやミネラル、ビタミンB群の不足により生じやすくなります。これらの栄養素が多く含まれる食材、食品を意識して摂取することは、不安解消に効果のある方法だといえます。もちろん、三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質をしっかりと摂取することは大前提となりますし、バランスよく摂取したいものです。炭水化物や糖質を極端に制御したり、あるいは体質により血糖値が低下し、不安感が高まることもあります。無理なダイエット、減量をきっかけに不安が高まり、気分が不安定になることも起こります。

 

 腸内環境も大切です。セロトニンという幸福感をもたらすといわれる脳内物質は大腸でその90%が作られると言われています。腸の状態を良好にしておくことも不安を生じにくくすることにつながります。腸内環境を整えるには食物繊維や発酵食品の摂取が効果的と言われます。

 「不安」というと、「心」によるものと思われるところですが、目に見えない「心」という現象は、目に見えるさまざまなものが重なり合って生じているようです。それらのうちのどれにアプローチすれば、より効果的であるのか。そのような視点が必要ではないかと考えます。

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