• 市川里美

相手を変えることは難しい。諦めてもいい。

 人間関係、対人関係。いくら歳を重ねても、どれほど経験を重ねても手放しでうまくいくということはないようです。“上手くいかなくて当然”と少し自分をゆるめてもいいのかもしれません。がんばりやさんほど、まじめな人ほど、うまくいく方法を考えすぎてしまう。何が悪いのか、どこがおかしいのかと突き詰めて考えていく。どうやってもうまくいかず、やがて疲れ果ててしまう。心の病を生じてしまうこともあるのです。


 「相手は変わらない」「相手を変えようとしてはいけない」ということをよく言います。なかなかこちらの思うように相手を変えることはできない。なので「相手に期待しないほうがいい」となる。まさにそうなのです。自分の望むような展開を相手に期待することをやめてみるとこれまでとは違った世界が見えてくるように思います。


 しかし「相手に期待しない」と決めたとしても、関わりが続き、相手から投げられてくるボールが悪送球ばかりではこっちの体がもちません。たとえ期待しなくても、あちこちに投げられたボールを拾いに行くばかりとなれば、とても疲れます。拾いにいくこともしたくなくなります。そんな自分も嫌になります。そして適応障害、うつ病になることもありうるのです。どんなボールを投げてもうまく返ってこない相手であれば、もうこちらからボールを投げなくてもいいのかもしれません。その関係から逃げてもいいのです。


「相手は変わらない」だから「自分が変わる」のだとということもよく聞きます。ここでまた、まじめさが発揮されてしまうと「私が変われば違ってくるかもしれない」と考え込んでまたまた袋小路に入ってしまいます。自分を変えようとして、相手を窺い、それに合わせていこうとしているうちに、本来の自分がわからなくなってしまうこともある。本当の自分がわからなくなる、こんな恐ろしいことはありません。


 どうしてもうまくいかない相手はいるものです。いくらかの改善努力をし、誰かに相談しても思うような変化が望めないのであれば、それは「相性が悪い」と諦めてもいいと思うのです。自分の心の健康を守るために。