大したことをしていないのに、疲れる。「そんなに仕事をしていないのに」「もっと大変な仕事をしている人がいるのに」。「なのにこんなに体調が悪くて」「甘えているんじゃないかと思う」とお話しされます。
ご家庭のことや子育てに専念されている方からも「大したことやっていないのにどうしてこんなに疲れるんだろう」「みんなの方がもっと忙しいのに」「仕事と家庭とを両立している人もいるのに」というお話をうかがうこともあります。
年始に放映されていたドラマの中で、出産して間もない奥さんから、仕事帰りにトイレットペーパーの買い物を頼まれていた男性主人公がいました。しかし、仕事が忙しく帰宅時間が遅くなります。奥さんの好みのトイレットペーパーを売っているお店まで行くには閉店時間ギリギリになってしまいます。小さい赤ちゃんがいますから、帰宅してからやることも沢山あると思うと、近くのコンビニでいつもと違うトイレットペーパーを買って済ませるかとも思います。でも肌に合わないのは良くないと思って、やはり遠くのお店まで行って奥さんの好みのものを買うのか、でも早く帰宅した方がいいのいか…と散々迷い、道を何度も行ったり来たりするという場面がありました。これです!これがとても疲れることなのです。
仕事量としては「トイレットペーパーを買う」だけなのですが、いろいろなこと、ここでは時間、奥さんの好み、帰ってからやるべきこと、自分の体力などを考えて、どれがよりよい選択なのか決めなければならない。このような作業はとても疲れるのです。心を使い疲弊します。しかし、仕事の成果としては大きなことには見えません。結果としては「トイレットペーパーを買う」ということだけなのですから。心を使って疲れる割には「大したことをしていない」「なのに何でこんなに疲れるのだろう」と見えてしまいます。
「そんなに仕事をしていない」「大したことをしていないのに疲れる」とおっしゃる方はこのような心を使うということをたくさんしているように思います。いくつもの情報を取り入れて、その条件を考慮し、判断し選択、実行する。少しでも良い選択しようと考えて心を使う。自分に甘いどころか、酷使してしまっているように思います。
先ほどの男性主人公は、遠くのお店まで行き奥さんの好みのトイレットペーパーを買って帰りましたが、家には同じトイレットペーパーが2パックも。「宅配が間に合った」とのことで、さらに疲れを感じるのでした。
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