• 市川里美

日本の3月、4月に注意? 希望した進路でもストレスに?

 日本での3月、4月は変化がとても大きい時期です。年度終わり、年度初めには多くの人に変化が起こります。卒業して社会人となる、新しい学校へ入学する、進級してクラス替えがある、引っ越しや会社内での異動もあるでしょう。また、自分自身にはそのような変化がなくとも、家族に変化があるときには生活リズムが変わったりしますね。季節としても寒暖差が激しく、春の嵐が吹いたりと、落ち着かない。そんなときには不調が起こりやすくなります。頭痛や腹痛、じんましんなどのからだの不調、やる気がでない、元気がでないなどの心の不調といったストレス反応が出やすい。


 希望していた会社に入る、第一志望の学校に入学するといった、自分が望んでいたことでもストレスとなることに注意が必要です。とても古い研究になりますが、ホームズとレイ(1967)は、ライフイベントのストレス度を数値化しました。そのなかでは、結婚、新しい家族が増える、優れた業績を上げる、クリスマスもストレスとして挙げられています。結婚は解雇よりも高いストレス度です。うれしいこと、喜ばしいことであってもそこで起こる変化がストレスになるのです。

 結婚して「円形脱毛症になった」という人もいます。「結婚したくなかったのかな?」「嫌だったのかな?」と探ってしまいますが、新しい生活になれるために一生懸命適応しようとからだががんばっており、ストレス反応として円形脱毛症という症状が出てしまったのでしょう。


 このようなことを考えるとき、私は競馬のフランスの大会(凱旋門賞)に行くサラブレッドのことを思い起こします。とても期待されて出走するのですが、なかなかいい結果には結びつかない。そうだと思うのです。馬にとっては飛行機で長時間移動し、気候の違う場所に行き、競争するわけですから、それは本調子が出ないよなと思うのです。(もちろん細やかな調整はするのだと思うのですが。馬の気持ちになると…。)

 人も同じです。うれしいことでも大きな変化が起こる時には適応するまでには時間が必要です。その間は不調もあり、疲れもでるでしょう。あるいは頑張って3か月過ごして、あとからストレス反応がでることもあります。「そろそろ慣れてきたと思っていたのに、なんで今頃?」と思うのは、心も体ががんばって調子を整えてきて、「疲れた!」というメッセージなのです。

 変化に慣れてくるまでは、ゆっくりとゆっくりと、と心がけていきます。早めに休息をとります。無理は禁物です。


 もうひとつ、春の記憶にも注意です。日本では小さいころから、3月、4月の変化を毎年のように体験し、さみしい、心細い思いや、ドキドキ不安という記憶が埋め込まれています。現実的な変化はなくとも、桜を見て、春の空気感を感じて、その記憶が呼び起こされ、なんだか不安になったり、ストレス反応を起こすこともあるのです。