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市川里美

心理検査について(1)

 当オフィスで心理検査も実施することとなりました。そこで、心理検査についてご紹介したいと思います。


 雑誌やネット、メディアなどで「心理テスト」という名称で、「性格診断」「あなたの深層心理は?」と、あるいは「あなたのI Qは?」という名目で載せられているものなどがありますね。「そうだったのか」と自分の思わぬ面を突きつけられて、それをヒントに自分について振り返ることもあります。しかし、それらは科学的に検討されていないもので、楽しむことが目的となるものです。


 医療や心理カウンセリングで用いられる心理検査は「科学的(統計的)に検討されているもの」となり、「信頼性」「妥当性」が備わっているものです。同じ条件下であれば、検査で測定される結果が何度検査をしても一貫していることを「信頼性」といいます。検査したいもの(知能、不安の度合いなど)をちゃんと測定できているかどうかを「妥当性」といいます。それらが統計で検討されており、心理検査の結果として「安定した信頼のおけるものであること」が保証されているものです。そのような心理検査は「標準化された検査」といいます。


 それでは心理検査では何を測定し、どんなことがわかるのでしょうか。心理検査は、大きく分けると知能検査(発達検査)とパーソナリティ検査の2種類となります。知能検査は、IQ(知能指数)を知ることができ、知的発達の水準(様子)を見ることができます。パーソナリティ(人格)検査では、パーソナリティを把握します。パーソナリティとは「性格の傾向」と言えばよいでしょうか。「人格ができている」「明るい性格」というようなことに用いられるよりも、もう少し深い意味のその人の在り方(ものの感じ方、捉え方、思考の方向性、それらの傾向)をとらえるものです。

 そのほかに、ADHDや自閉症スペクトラムの傾向をみる心理検査もあります。不安の程度や、抑うつの程度など、精神的な健康度を測定できる心理検査もあります。これらは診断の補助として使われることもありますが、その検査だけで診断することはできないものとなります。

 

 検査の内容としては、質問に「はい」「いいえ」「どちらでもない」と答えるものや、計算などの作業をするもの、絵を描くもの(描画法)、曖昧な模様を見て自由に答えるものなどがあります。


 当オフィスでは、知能検査としてWAIS-IV と WISC-V を、パーソナリティ検査としてロールシャッハテスト、描画法などを用意しております。


 心理検査は、今の様子を知ることも目的となりますが、その結果をその後に役立てるために実施します。その後のカウンセリングや、その後の自分の在り方や、支援の手立て等に役立てます。I Qの数値だけを見て判断したり、診断する、というものではありません。結果をよく分析し、実生活に落とし込んでこそ、心理検査の意味があります。


 この後、それぞれの検査について書いていこうと思っています。

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