• 市川里美

対人関係のフォーム(5)

 対人関係のフォームについて、最後のお話となります。相手も自分も不安定な対人関係のフォームを持っているとき、についてです。お互いに不安定ですが、お互いによりかかることによって、とても安定しているようなときもあります。本人同士も「安心する」「一緒にいられるとほっとする」と感じられる。ときに、恋愛関係においてそういうことがよく見られます。どこかひかれあって、同じような感覚で、シンパシーを感じて一緒にいる。一緒にいられる。

 けれどもどちらも不安定なわけですから、その関係はとても危ういものでもあります。ふとしたことで、些細なことで、危うい状態に陥る。お互いによりかかっているわけですから、どちらかがちょっとでも傾くと、お互い倒れてしまう。ですので、しがみついたり、あるいは自分のことだけに気が向いてしまい、相手のことが考えられなくなったりもしますし、一緒にいることが怖くなって急に突き放したり、そうしても離れる怖さに耐えられずにまた一緒に居ることに戻る、ということにもなります。


 「その人と一緒にいたら危ないよ」と周囲は思います。「早く離れた方がいい」と忠告されることもあるでしょう。客観的にみればそれがよいと思われるのですが、本人は迷います。その人といるからこそ得られるものもあるのです。それは不安定なもの同士でなければわからないものかもしれません。そこに幸せを感じることも多い。なので、また倒れそうになってもしがみついたり、突き放して少し離れてまた一緒になって、少し安定する、を繰り返していく。


 できれば、寄りかかっても倒れない人、すなわち対人関係のフォームが安定している人と一緒にいられるとよいと思います。そうして自分のフォームも安定させる。寄りかからなくても、一人で安定できるようにしていきます。それが怖くなって、不安定なフォームの人と一緒にいることを選ぶ時もあるのですが。


 けれども、何を幸せと感じるかはその人の感覚です。それはとても大事だと思うのです。