• 市川里美

対人関係のフォーム(3)

 幼少期、身近な人との関わりのなかで対人関係のフォームの土台がつくられ、その土台の上にその後の経験が積み重なっていきます。その土台がうまくつくられなかったときには、どうしてもアンバランスなフォームができてしまいます。アンバランスな土台では、その上のものもアンバランスなものとなってしまう。その時には、どうすればいいのでしょうか。対人関係のフォーム(2)に出てくるような、非常にバランスの悪いフォームを持っている人自身はどうすればいいのか。


 実は、それに自分自身で気づくことが難しいということがあります。自分の対人関係のフォームが「非常にバランスが悪い」ということに気づくのが難しい。対人関係がうまくいかないとなっても、「自分は何も悪くないのに、なぜ人が離れていくのだろう」と思ったり、「自分はふつうだ」「相手が悪い」と考えることが多い。次第に孤立していきます。ものごとを被害的に受け取って相手を攻撃してしまうこともある。けれども、自分の対人関係のフォームのアンバランスさにはなかなか気づくことができない。これもアンバランスな対人関係のフォーム故のものなのです。


 たとえ親切な人からの忠告があったとしても、自分自身について考えることにつながらないようです。「人を信じられない」とも感じていて、どの人のことばも受け入れることができないということもあります。ですので、自らカウンセリングに訪れるということはなかなかありません。

 

 しかし、そのことに気づいたときにはとてもつらく、苦しいです。それに向き合うことは、一人では難しい。人は信用できないと感じているので、話せる人もなかなかいない。ましてやカウンセリングで知らない人に話すなどは「怖い」と思うでしょう。この怖さを乗り越えることも大変だと思います。もし「カウンセリングに行こう」と思えているなら、それはもう変化が始まっているということだと思います。


 これを読んで「もしかしたら私もバランスの悪いフォームなの?」と心配される方もいるかもしれませんが、ある程度のトラブルであれば気にしなくていいと思います。多少のトラブルがあるのは生きていて当然あることです。ですが、何度も、何度も、トラブルが起きている。人が離れていく。孤立している。そんなときには一度ご自身の対人関係のフォームを見直してもよいと思います。