• 市川里美

子どもの育ちが気になるとき

 子どもの育ちについての心配は尽きません。将来を思い、今何をすればいいのかと、親としての責任を感じ、悩みます。特に、保育園、幼稚園などの同じ年齢の集団に入ると、どうしても比較してしまう。「あの子は、もうあんなにお話ができる」「ひらがなは全部読める」「絵が上手に描ける」「落ち着いて座っている」。うちの子には何が足りなかったのかと考えてしまいます。「もっと読み聞かせをしてあげればいい?」「育て方が悪かった?」「もっと字を覚えさせなきゃ」「一人っ子だから?」と焦りも感じますし、自分を責めてしまうこともあるでしょう。


子どもの育ちにはおおよその目安はありますし、それをクリアしていれば安心はできますが、それが「絶対」ではありません。母子手帳に載っている目安から多少ずれること(かなりずれることも)は多いにあります。まさに十人十色ですね。ゆっくりペースのお子さんもいれば、伸びが早いところとそうでないところの差が目立つお子さんもいます。あまり神経質にならなくてもいいのかと思います。


 ただ、親の勘、感覚が鋭いことも確かなのです。「何か他の子どもとの違いを感じる」「他の子と比べてはいけないけれど、ここがなかなかできない」ということで、かなり的確にお子さんの発達の段階を見抜いている。そういう時には、ほかの子のレベルに追いつこうとするよりも、そのお子さん自身の育ちの段階に適した関わりをすることがとても大切です。ここが「ほかの子どもと比較してはいけない」ということなのです。ほかの子どもができていることをできるようになることを目指すということは、今それができない自分の子どもを否定することにつながる。なので、お子さん自身の育ちの段階に合わせた関わりを考えていきます。その方法は極めて個別なもので、どのお子さんにでも合う方法はないようです。そのお子さんだけの方法を見つけていきます。ですので、まずは、子どもの生まれ持った個性を理解することが大切になります。


次のことばは、ある幼稚園の園長先生から聞いた言葉です。 「ゆりはゆりに、バラはバラに、すみれはすみれに。持って生まれたものでその花に咲くようにできている。ゆりにバラを咲かせることはできません。すみれはすみれとして咲く。お子さんがどんな花を咲かせるのか、その花を育てていきましょう。」と。

生まれ持った花が咲くといいですね。