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  • 市川里美

失敗するとガーンときてしまう。失敗に耐えられない。怖い。

更新日:2020年12月19日

 HSP(エイチ・エス・ピー)という名前がよく取り上げられるようになりました。”Highly Sensitive Person”。生まれつき感受性が強く繊細な気質を持っている人のことを言うようです。他人の気持ちを感じやすかったり、いろいろな情報を取り入れすぎたり、気を遣いすぎて疲れやすいということがあります。人口の2割の人がこの性質を持っていると言われています。

 カウンセリング場面でも「自分はHSPだと思う」というお話をよくうかがうようになりました。繊細で人よりも心が傷つきやすく、とても疲れやすい。その中で、些細な失敗が人よりもガーンと心にくる、すごく辛い感覚を持つ方が確かにいらっしゃるように思います。周りの人から「そのくらいのこと大丈夫だよ」「気にすることじゃない。よくあることだよ」と言われても、まったく気が楽にはならないのです。初めてのことや未知のことは不安でいっぱいになります。「失敗したらどうしよう」と失敗することを先に考えてしまい、結局避けてしまう、やめてしまうということになります。小さいお子さんでも同じようです。3歳くらいのお子さんでも、失敗しそうなことは頑なに手を出さない。初めて行くところは不安で泣き出してしまうということもあります。

 このような性質について遺伝子に要因を探る研究もあります。HSPも生まれつきということであれば、遺伝子にその理由を求められるのかもしれません。遺伝子と言われると、「自分ではどうにもならない」「治らない」と考えがちですが、遺伝子の発現は環境や行動により操作できるものであるようです。経験を積んでそのような感覚が減弱するということはありますので行動を変えてみるというのはよい方法だと思います(認知行動療法の手法です)。

 

 まずは自分にそのような性質があるのだと知ることが大切なことです。遺伝子からのものであれば、がんばってみても楽観的になることは難しいでしょうし、目標を設定して精神力や根性で克服するというのも違うように思います。「自分は心が弱い」「傷つきやすい」「どうしてほかの人と同じようにできないのか」と考えこむことはしないようにしてよいと思うのです。「楽観的になる」「失敗を気にしなくなる」「普通になる」ということを目指さずにいい。 

 ではどうするか。そういう性質を客観的にみてマネージメントする、というのはどうでしょうか。「自分を変える」「変わる」のではなく、そのままでそれを上手にマネージメントする。自分が自分のマネージャーとなるのです。失敗をして落ち込んでいる自分を大切な友達と思ってみてもよいと思います。あなたは、どのように声掛けするでしょうか。そう考えると次にどうすればいいのかが見えてくるかもしれません。自分を客観的に見る自分を作っていくということが助けになるように思います。

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