• 市川里美

ヒトはポンコツ?! もっと寛容でいいのかもしれない

 脳科学の研究を見てみると、ヒトという種はかなりポンコツなのかも?と考えさせられます。錯覚はしょっちゅう起こります。

 ミントの葉を浮かべた水は冷たく感じます。お風呂の照明が切れて、外の明かりだけで入る浴槽はいつもの水温でも寒々しく感じます。同じものでも違うようにとらえる。ヒトは、ものごとを相対的にしかとらえられないシステムになっているようです。

 客観的にものごとをみようと思っていてもどうしても主観が入り込みますし、記憶違いや、自分に都合のよいように記憶を変えてしまうということもみられます。なんだか何を信じたらいいのかわからなくなりますね。

 ベンジャミン・リベットの親指の実験というものがあります。1970年代の実験です。自分が親指を上げようと思ったそのたときより0.5秒前に脳はすでに親指を動かすという活動が始まっているということがわかった実験です。自分が「しよう」と思う前にすでに脳が活動しているというのです。それでは「こうしようと思った」というこの意志はなんなのでしょうか?このような意思が実は後付けのものなのではないかと考えられるのです。

 それでも”自分”というものが指示を出して動いたりしていますよね。そういう感覚です。しかしこれも錯覚といえるかもしれないのです。

 もう一つ別の実験もあります。2枚の異性の写真を見てもらいます。写真を出されたらすぐに好きな方を答えます。すぐにです。2枚の写真をそれぞれ同じくらいの時間見ていると考えるかもしれませんが、実はすでに好みの写真のほうを長く眺めているのです。すぐに決めても、その前にもう行動は始まっているのです。このような実験からも、人が”意志”と感じているものは、実は後付けのものではないかと言われるのです。

 

 ヒトの脳にはこのぐらいのあいまいなシステムしかないのか、と思います。注意すれば多少は修正可能なのかもしれませんが、完璧にすることは不可能でしょう。”絶対”ということもないのでしょう。

 しかし、今の時代、ほんの些細なことから大ごとになってしまうようなことが多くなっています。文明・技術の発展によって便利になった分、細心の注意を払わなければとんでもないことになってしまう。クリック一つ、タップ一つで、発注数を間違えたり、メールの宛先を間違えたり、多くの人に情報を公開してしまったり。人間工学の分野ではこのようなミスを防ぐためのフェイルセーフ、フールプルーフといった仕組みづくりの研究がされています。

 ヒトはポンコツ。人にも自分にももっと寛容でいいのかもしれません。

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