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市川里美

カウンセリングって何をするの?

更新日:2020年12月19日

 カウンセリングでいったい何をするのでしょうか。カウンセリングを受けるとどういうことが起こるのでしょうか。よさそうなことはわかっているけれど、どういうことをするのか?と疑問に思っている方も多いと思います。いろいろと細かく考えていくこともできますが、次の2つに絞ってみたいと思います。


   1.「話す」ことで心の整理をする。

   2. もののとらえ方、考え方、行動、感情を変える。


 しかし、カウンセリングが心の問題に万能というわけではありません。お薬が必要な場合もあります。医学的検査をした方がよいということもあります。また、いろんな人とゆっくりと過ごすことがよかったり、時が過ぎれば問題でなくなることあります。ですので、カウンセリングを心の問題の取り組み方のひとつと考えていただけたらと思います。

 まず、1の「話す」ことで心の整理をする、ということについて書きたいと思います。


  いまは、学校や会社にもカウンセラーがいますし、カウンセラーという職業を、あるいは資格として臨床心理士や公認心理師を知っているという方も多くなりました。けれども「カウンセリングに行ったことがある」「利用したことがある」という人はまだまだ少ないように思います。なかなか気軽に「行ってみよう」という感覚にはなりにくいのではないかと思います。「人に話してもどうにもならないこと」という感覚も強いと思います。「話したところで、人にはわかってもらえないだろう」とも考えられるでしょうか。あるいは「そういうところに行くのは心の弱い人」と思う方もいらっしゃるでしょう。また「こんなことで相談するなんて。一人で考えなければ」と思っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、指のささくれのような些細なことと思っても気になるものですし、一人で考えているとぐるぐると同じところを回って、同じような考えにとらわれてしまいがちです。

 

 誰かに話すと考えが整理されます。「話す(はなす)」ということは、問題を自分から「離す(はなす)」ということにつながります。自分の頭の中で話すのではなく、誰かに話そうとすることで自分の心の中にあるものを一度取り出します。問題を客観的に見られるようになり、整理ができるのです。新しい視点ももたらされます。

 

 実は、話す相手はカウンセラーではなくともいいのです。以前はこのような対話がコミュニティーの中でできていました。いわゆる井戸端会議というものはその役割を担っていたといわれます。ちょっとした雑談の中で心の整理ができ、新しい視点を見いだしていたのです。今は、そのような機会がとても少なくなりましたし、また複雑でストレスが多くなっています。話を聴く専門家であるカウンセラーが必要となっているといえましょう。

 臨床心理士、公認心理師という資格を持った人とは利害関係や上下関係がないですし、臨床心理士、公認心理師は話の内容を秘密にする義務を負っていますので、安心安全に話すことができます。専門家として、心の整理を対話の中でスムーズに行うことができるます。


 正解や解決方法が得られなくても、この「話す」ことだけでも心が軽く感じられることが多くあります。1,2回カウンセラーと話すだけで十分な方もいらっしゃいます。心の荷物の荷ほどきをして、抱えやすいようにできる、といったイメージでしょうか。

 

 さらに本格的なカウンセリング(心理療法)が2の「もののとらえ方、考え方、行動、感情を変える」となります。2については次回に書きたいと思います。

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