小学校や中学校にカウンセラー(スクールカウンセラー)がいるようになってから25年が経ちました。カウンセラーという職業を、あるいは臨床心理士や公認心理師という資格を知っているという世代もかなり広がりました。けれども「利用したことがある」という人はまだまだ少ないでしょう。大学には学生相談室にカウンセラーがいますが、利用者は全学生の3%~4%ぐらいのようです。「学校にそんな人がいたかな?」と思われる人もいるでしょう。
では、どうやって自分に合ったカウンセラーを探したらいいのでしょうか?ネットで検索はできますが「本当にこの人でいいのかな?」「大丈夫かな?」と不安に感じられるかと思います。目安としてまず、資格について確認されるとよいと思います。
【資格について】公認心理師は平成30年に第一回の試験が実施されたできたての国家資格です。臨床心理士は民間資格ですが、これまで心の専門家と言えば「臨床心理士」であり広く活躍しています。公認心理師は国家資格ではありますが、現時点ではまだその質や働き方というものがはっきりと実践で示されていないということがあります。臨床心理士資格は民間資格(日本臨床心理士認定協会が定める)ではありますが30年以上に渡るもので、5年ごとの更新にいくつもの研修が必須の資格です。この点では臨床心理士資格を持っていることが選択の目安の一つと考えられます。同時に公認心理師資格も持っているとよいでしょう。(ただ、資格がなくとも実力のある方はいらっしゃいますし、逆に資格があっても…ということもあり得ますので、これだけを基準にしてもいけないとは思いますが。)
【専門性について】カウンセラーの専門性、特に強い分野があればそこに着目するのもよいと思います。しかし、複数の分野にまたがって経験を積んでいるカウンセラーが多いです。教育、医療、福祉、産業、司法分野で経験を積まれている方が多くいます。私も小学校、中学校、高校のスクールカウンセラー、市区町の未就学児の発達相談、大学での学生相談と総合病院精神科での仕事を現在もしています。小児科や精神科デイケアでの仕事の経験もあります。ですので、カウンセラーはただ一つの分野だけを専門にしているということではないと思っていいと思います。そもそも人の悩みや問題の背景にはいろいろなことが隠れています。専門性にこだわりすぎるとそれが見えなくなってくることもあると思います。
【カウンセリングの方法について】 精神分析、認知行動療法、家族療法などいろいろな方法、理論があります。それぞれの特徴を知ってそれを専門としているカウンセラーを探すというのもよいと思います。しかし現在はいろいろな方法を組み合わせて、その人に合う方法を組み立てていくことが多いように思います。「この方法がいい」というお考えがなければ、方法にこだわらなくてもよいでしょう。
【相性について】 これが一番大事でしょうか。相性が良ければいいというものでもないですが、話していて安心できるという感覚がある方がよいのではないかと思います。しかし、こればかりはホームページや紹介文だけではわかりません。ほかの人から「いいカウンセラーだよ」と聞いても、自分にとってはどうかはわからないです。なので実際に会ってみるということはしなければならないでしょう。1回会って「合わない」と感じることもあるでしょうが、何度かカウンセリングを重ね、その合わない感じをカウンセラーに伝えてみてから考えてみるということがよいのではないかと思います。「合わない」と感じることにご自身で見えていない向き合うべきことがあるかもしれないからです。
【探し方】
カウンセラーはホームページを作っていることが多いので、ネットで探すことができますが、日本臨床心理士会のホームページには『臨床心理士に出会うには』という検索システムがありますので、それを利用されるとよいと思います。無料で利用できます。カウンセリングの方法、専門性、費用、最寄り駅といった条件から探せます。最終的には足を運んでいただき、カウンセラーと会って決めるということになると思います。
Комментарии