「食べ物の好き嫌いが激しい」「思い通りにならないと大泣きして、手がつけられない」「昼間いくら遊んでも、夜なかなか寝ない」「こだわりが強く、一度こじれると切替えが難しい」「落ち着きがなく、どこに行くか見張っていないとならない」「ブランコを上手に焦げないけれど大丈夫かな?」
とても育てにくいと感じるけれど、個性なの? 育て方が悪い? 一人っ子でがまんさせてないから? といろいろ考えてしまいます。そもそも「子どもが育てにくい」と言うことも、ちょっとよくないこと、言いにくい、という感じがあるかもしれません。そして心配はあるのだけれど、見守るままで時が過ぎてしまう。
先輩ママの「うちの子もそうだった」「大丈夫よ、大きくなれば変わるから」というアドバイスも聞くと、ますます「様子を見よう」ということになります。もちろん、子どもの発達、成長は目覚ましいものがありますので、心配がいらなくなることもあります。しかし、早めによりよい発達となるようなアプローチを始めておくのがよいと思います。ではどのようにアプローチすればいいいのか。
この本では、子どもの育てにくさの背景にあるものは何なのかが的確に明確に示されていますし、発達を促す方法についても具体的に書かれています。「触覚」「固有覚」「平衡感覚」という感覚の視点から子どもの育ちについてみていきます。するとみえてくるものは、「育て方」「精神力」「経験」というものではなく、神経や脳の発達です。お父さん、お母さん、どうぞ自分の子育てを責めないように。
音を怖がる、水をこわがる、砂をいやがるは防衛反応であり、「性格」や「単なる経験不足」ではない。感覚伝達の交通整理がうまくいていない、ととらえます。ですので、「慣れさせることが必要」と子どもにがまんさせ、いやがっているのに無理やり水や砂に触らせたり、大きな音に慣れさせることには意味がなく、かえって悪影響しかない、ということがよくわかります。ましてや叱ったり、おどしたりすることでは、脳や神経は発達しません。
感覚情報処理、神経伝達の問題であるのだから脳や神経伝達にアプローチすることが必要なのです。そのお子さんに適したプログラムを早めに開始できればと思います。
ただ、この本にタイトルにある「感覚統合(感覚統合療法)」で全てがうまくいく、ということでもありません。「みんなと同じになる」「普通になる」ことを目標とするのではなく、お子さんが持って生まれたものを「それでいいよ」と受け入れることも同時にしていくことが大切だと思います。
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