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「〜けど…」と心の容量 

市川里美

 こんな言葉が心に浮かんだことはありませんか。


「がんばれば、なんとかできるけれど…」と仕事や勉強で、

「彼はいい人なんだけれどね」「あの人は、悪い人ではないけれど…」と対人関係で、

「やろうと思えば、できるけど…」と家庭のことや人からの頼まれごとで。


 こんなふうに「〜けど…」という言葉が出てくる心には、行動への迷い、不安が見え隠れしています。一方で、それをなんとか乗り越えていこう、乗り越えなければという思いも起こっているのでしょう。しかし、「〜けど…」という言葉が自然に出てきた時点で、心の容量はすでにストレスでいっぱいになっていると考えた方がいいでしょう。ストレスがなみなみと心に溜まっているのです。あと一滴でもストレスが入ってくれば、あふれだしてしまう状態です。

 ここを突破して、仕事や勉強をなんとかこなそうとしたり、人と付き合い続けたり、自分を追い込んだりしてしまうとき、心はストレスに耐えることができなくなり、からだも心も疲弊していきます。次第に「がんばれない」「会社に足が向かない」「億劫」と感じるようになり、「やる気が出ない」「起き上がれない」「食欲がない」「眠れない」と症状へと変わり、深刻な状態に陥ってしまう。


 頑張り続けること、粘り強く取り組むこと、なんとか壁を突破しようとする姿勢は、「努力」「立ち向かう力」「乗り越える力」として「素晴らしい」とポジティブに評価されることが多い。逆に、楽をすること、要領よくこなすこと、は何か後ろめたさを感じる。このようなことが刷り込まれているとき、先ほどの「〜けど…」の限界を容易に突破しようとしていきます。乗り越えられないときには、「頑張れない私はダメな人間だ」と自分を否定し追い込んでいくことにもつながる。このような状況によって、うつ病などの精神疾患に陥るケースはとても多いです。


 限界を一度越えてしまうと、なかなか戻すことが難しくなるようです。休養しても回復しづらくなる。ですので、このリミッターを外さないように気をつけなければなりません。この「〜けど…」という言葉がそのサインの1つとなることをどうぞ覚えていてください。

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